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ストーリーの作り方編

これは、僕が偉そうに教えてもいいものかどうか
非常に迷ったのですが、とりあえず書かせていただかきます。
【1】ストーリーの作り方

・上達法
■教科書

まず、教科書と言っていい本をご紹介しましょう。
なんて…いま、たくさん出版されてますよね。
でも僕が推薦するのはこの一冊!

『シナリオの基礎技術』
新井一 著(ダヴィッド社)

この本が手に入らなくても、他にもたくさん出版されています。
ストーリーの作り方の基礎的な部分は同じですから、
おおまかに言えば、どの本も同じことが書いてあるのです。

ただ、僕がいろいろ読んでみて思うに、
「漫画の描き方」という本よりも、「シナリオの書き方」という本の方が
より良い気がします。
でも、いろいろ読んでみるのも良いでしょう。

■ストーリーの作り方

漫画のストーリーの作り方には何種類かあります。
まず、いろいろやってみて自分に合った方法を見つける必要があります。
そのための時間が年単位で必要なので、出来るだけ早く始めましょう。
ちなみに僕は、プロになってからも何年も自分に合ったやり方を探していました。

【いろいろな方法】

いきなり1コマ目から描きはじめて、最後まで描き上げてしまう

イメージが浮かんだシーンから、絵を描いて行く
コマ割りとかは気にせずに、紙1枚にワンシーンを描く気持ちで
ガンガン描いていく。
それらをつなぎ合わせれば、ある程度の形が見えてくる。
その後でコマ割りをしていく。

シナリオを書くように、まず文字でプロットなどを最後のシーンまで書いてみる
そして足りないシーン、余分なシーンを整理していく。
その後でコマ割りをしてみる。
【プロット】
シーンごとにあらすじをまとめた物。

1,太郎が花子に近づく、が、フラれて悔しい。
2,家で泣く太郎。悔しさがどんどん倍増していく。
3,必殺のラブアタック作戦の計画を練る。そして完成。
4,…………

といった感じのもの。
もちろんそれよりも詳しく書いてもよい。

キャラの絵を描いていく
役者をそろえるようにして登場人物を描いていく。
ある程度そろったところでそれぞれの配役を決め、
性格や詳細な設定を決めていく中で徐々にストーリーを形づくっていく。
【性格や詳細な設定とは…】
一人の登場人物には、本編の中で登場しなくても
決めておくことでイメージがふくらむものがある。

・タバコは吸うか?
・兄弟はいるか?
・料理は得意か?
・パンツはブリーフ派?トランクス派?
・出身地はどこ?
・好きな科目は?
・野球はどこファン?
・利き腕はどっち?
・今までケンカした回数とその理由。
・泣いた映画1本上げるとしたら?

……こういう裏の設定を考える過程で、
頭の中でキャラが出来上がっていく。
あらかじめ質問を決めておくと、そのキャラについて
思いもしなかったことを考えなくてはならなくなり、
それがキャラに厚みを持たせることになる。

まず描きたいテーマを決める
全体を通して訴えたいこと、ラストで読者に感じさせたいことを
「テーマ」と言う。
そのテーマを語るに最も適したシチュエーション、ストーリーを
組み立てていく。
「ラストで語るテーマは、最初に持って来い!」
【テーマは最初に持って来い】

読者が、読み終えたときに自分の言いたいテーマを感じてくれるように
話を組み立てていかなければならない。
テーマに関係なシーンを入れているスペースはない。
「シナリオは省略の芸術」という言葉もあるように、
漫画も、長いストーリーをいかに省略してテーマを伝えるかに懸かっているのだ。

ファーストシーンから「テーマ」を念頭においたシーン作りをしなければならない。

実際にあった事件や事故を参考にしてみる
自分自身が、この事件・事故の当事者だったどうするだろう、という
ところからストーリーを展開していく。

この場合重要なのは、
自分の頭の中で、どこまでリアルな人間のリアクションを想像できるか、
周囲の動きをどこまで読めるか、ということだ。

学園物などでも、事件が起こった時の学校側の反応やPTAなどの反応、
親や周囲の人たちの動きを想像するのはとても難しい。
「自分だったらどうするか?」では間に合わなくなる。
その意味で、社会経験が必要となってくる。

例えば
「少年ジャンプ」の『デスノート』(集英社/大場つぐみ,小畑健)
などは、まさにその典型だ。
人間の現実的なリアクションや周りの行政サイドや警察の反応が描かれていなければ、
本当にチャチな漫画になってしまうことは想像できるだろう。
死神とか出てくるし。
■上達法
今まで僕がやってみて勉強になったという方法をご紹介してみます。

まず、ストーリー作りの元となる様々なアイディアは、
まったく真っ白な状態の脳みそに、「ポッ」と出現するものではありません。
アイディアとは、
頭の中にある、たくさんの知識やストーリー展開の
組み換え、結合、転用、逆、ずらしなどの作業によって生まれると
僕は思っています。


だから、 映画・ドラマ・小説・漫画…いろいろな物語に触れるのが、
いちばんの勉強になります。
ファンタジー物が好きだからと言って、
ファンタジー物だけを読んだり観たりするのはダメです。
幅広く、いろいろなストーリーを、なるべくたくさん
読まなくてはダメです。

ただ漫然と観たり読んだりするだけではなく、
必ずストーリーをノートにまとめるという作業をすると、
効果倍増です。

ノートの1ページに、まとめられるくらいに、
簡潔に見やすくまとめて行きます。

そして、次の1ページに、
この物語は、なぜ面白いのか、
クライマックスで、読者の気持ちを盛り上げるために、
どんな工夫がされているか、
そのために、どんな登場人物が設定されているか、
をまとめていきます。

そのストーリーが、つまらなければ、
どこがダメだったか、
どうすれば、面白くなるかをまとめて行きます。

この作業を、各作品ごとに繰り返します。
それで、ストーリー作りの技術は格段に進歩するはずです。


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